オープンソースへの偏見と誤解
オープンソースは品質・サポートが弱い?
『オープンソースソフトウェア(OSS)は商用ソフトウェアと品質と機能において同等以上!』
『サポートは、商用ソフトウェアのサポートより良い!』
え?と思われるかもしれません。すべてのオープンソースがそうだとは申しませんが、しっかりとしたコミュニティを持ったオープンソースのほうが、顧客ニーズにあった品質や機能を提供でき、しっかりとしたサポートができる素地があるのは断言できます。野村総合研究所の調査でもコンテンツ管理系とアプリケーションサーバーについては、機能的にも成熟度的にも企業システムで安心して利用できるレベルものが多いと非常に高い評価となっています。(出展:IT Leaders 2009/2月号)
日本では大企業向けの商用ソフトウェアはほとんどが海外のローカライズもので、国内では代理店や日本法人が販売およびサポートを行っています。なにかトラブルがあった時は、この代理店や日本法人を通じてサポートを受けることができます。ただ、基本的に開発は海外で行っているので、日本固有の問題への対応は期待できませんし、ほとんどの不具合は国内では解決できず、海外本社での対応となり、解決まで長時間待たされたり、対応不可となることも多々あります。CMSにおいても、ソフトウェアのバージョンアップの際に下位互換性がまったく考慮されておらず、全面作り直しをせざるを得ないというトラブルがあったとも聞いております。これも顧客からの物理的・心理的距離が遠いために起きた不幸な例だと思います。
一方、オープンソースですと、しっかりとして技術サポートを提供する企業さえあれば、ソースが開示されているため即対応を行うことができます。ライセンス形態にもよりますが、顧客のニーズに応じた変更も行うことができます。
このソースが開示されているというのがまた曲者で、オープンソースを導入したインテグレーターが『オープンソースなのでお客様の方で対応下さい。』と回答をして顧客ともめることがあると聞きます。こういった事もオープンソースを「安かろう悪かろう」ソフトウェアにしてしまっている一因になっているように思います。しっかりとした保守サービスを受けるだけで、商用のクローズドソースソフトウェアにはない様々なメリットを享受することができるのですが。
弊社はオープンソースのエンタープライズCMS、OpenCmsを日本で普及するために活動を行っております。メインの開発元であるドイツAlkacon社や他ソリューションプロバイダー達と新機能の検討を行ったり、コアやモジュールの開発をしたり、スポンサーとしてカンファレンスを協賛したりしております。
本題からはそれますが、メールやメッセンジャー等ほぼリアルタイムのコミュニケーション手段が充実していますので距離感はまったく感じていません。これは弊社自体が日米に事務所をおいていることも影響しているかもしれません。Alkacon社もシカゴのマーカンタイル取引所などを大手企業を顧客に持ち、さまざまなモジュールの提供やサポート等をしています。数千キロ離れた世界有数企業の開発・サポート業務を行っているというのはすごいなぁと感じると共に、オープンソースによってこそ達成できる品質の高さが誇らしく思える瞬間でもあります。
翻って、日本。まだまだ『オープンソース=低品質・サポートなし=業務に使えない』的単一思考が跋扈してます。つい最近も某CMSプロデューサーがセミナーで、『オープンソースは品質が悪いし、保守がないから使えない』という意図の発言をしていてました。ウェブ系有名メディアの人から『多くの実績や保守があるオープンソースCMSもあるようですが、それらもだめということですか?』という質問を受け、『え。そうなんですか?それであればOKでしょう。』と発言を訂正されていらっしゃいました。(彼らとしては、商用ライセンスと違って、バックマージンが得られないというのが本音なのでしょうけど)
ユビキャストは、日々、「オープンソース」の発展のために活動を行っておりますが、上記のような発言を聞くたびに、その道のりの遠さを感じずにはいられません。セミナーなどではできる限り正確な情報を発して頂きたいと願うと同時に自分の発言にも注意したいものだと思います。
オープンソースと商用ソフトウェアの価格体系は、違っているようで実は驚くほど似ています。多くの商用ソフトウェアは、ライセンス料とは別にサポート料も請求しています。オープンソースでは、開発はコミュニティなどが主体となることが多く、それに対する費用であるライセンス料は発生しませんが、サポートが必要な方にはサポート料が発生する場合が多くなっています。商用ソフトウェアの場合、不具合があった場合に自分で修正する手段はまったくありませんので、サポートは半強制的に購入することになります。
(2009/1/28)
オープンソースへの偏見と誤解に関連する参考外部リンク
企業で使えるオープンソースCMS一挙12種類解説(機能やインストール/管理の難易度評価付き) (インプレス)
成長に合わせて自由に拡張できるライセンス無料のオープンソースCMS「OpenCms」 (インプレス)
CMS Watch:「営業の嘘」トップ10 /セックスと嘘と CMS ベンダー (DESIGN IT)
第2回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査(2008年度調査) (独立行政法人 情報処理推進機構)
オープンソースCMSを賢く使う勘所と選び方 (インプレス)






